第十三階層、ミスリル鉱山近くで、俺たちはフロストドラゴンの肉を焼いて、遅い昼食を摂っていた。 秘蔵のドワーフ製の肉タレがついた霜竜の肉は、ピリリと辛く、味をよく引き立てていた。ついでに体の内側からポッと熱くなってくる感じだ。寒々とした空気の十三階層にはありがたい。 ベルさんとマルカスは男らしく思い切り肉に齧かじりつき、アーリィーやサキリスは小さく齧るときちんと咀嚼そしゃくして、上品に振る舞った。 ちなみに少し離れた鉱山のまわりでは、ドワーフの一団が、俺たちがおすそ分けした霜竜の肉を喰らって豪快に笑ったり話し合ったりしている。俺たちが食べている肉のタレは、あちらさんからの提供だ。 このドワーフ連中は、大空洞内のミスリル鉱山の話を聞いてやってきた戦闘採掘団なのだそうだ。とうとう、ここにも普通にミスリルを掘りに人が到達したということになる。まあ、もとより俺たちが所有権を主張するものでもないけどね。 鉱山周りには、ドワーフたちが作ったと思しき簡易な防護柵や落とし穴があり、ところどころに氷狼や白トカゲ、霜竜の死骸があった。何故放置しているかと聞けば、どうせ持って帰れないから魔石や最低限の肉だけとって、そのままにしているらしい。 ストレージやポータルがないと運べる量には限度がある。彼ら採掘団が運ぶのは当然ながらミスリルなので、それ以外のものは眼中にないということだろう。まあ、しっかり魔石は回収したようだが。 ![](https://img.altema.jp/houkaistarrail/kakudaiyou/syuzinkou02.jpg)