そうなると、またひとつ困ったことになった。闇オークションに参加してサキリスを競り落とすこと自体、現状では不可能ということになる。会場に忍び込むことはできるが、オークションに参加した時点で不正がわかり無効――ああ、アウトだな。 　魔法騎士学校に戻る。午前の授業が終わり、俺たちは遅い昼食を取る。サキリスが奴隷として競売にかけられる可能性が高い、という話をアーリィーに説明しておく。 「問題は、その闇オークションに参加しようにも、会員ではないということだ」 　いっそ参加者含めて全員摘発てきはつしたら……なんて、俺にその権利なんてないし、仮にあったとしても有力な貴族や外国や他種族の有力者がいるらしい場所で、そんなことしたら間違いなく報復対象。さらに国を揺るがす大騒動に発展する恐れがある。……地獄への片道切符はごめんだね。 　物事はシンプルに。 　そして正攻法でいこう。 　王子であるアーリィーが、闇オークションの会員だったりは……しないな、うん。